頭の整理
ネフローゼ症候群について、インタビューを受けた時にうまく説明出来ませんでした。
どういう病気で、どこが大変で、どうやって治療していくのか。回復していくのか。
インタビュー記事を仕上げてもらう過程で、やっぱり、食い違いがあって、簡潔に、わかりやすく説明することの難しさを実感。
ちょいと頭の整理をば。
ネフローゼ症候群は、1次性と2次性があります。別の疾患から派生して、発症するのが2次性。いきなり発症するのが1次性。
私の場合は1次性。
そして、1次性ネフローゼ症候群の中にも種類があります。私の場合は、微小変化型ネフローゼ症候群というもの。
この特徴は、発症が急激で、子どもに多いのが特徴。
1次性微小変化型ネフローゼ症候群という病気は、腎臓の自己免疫疾患です。
血液のなかのアルブミンというタンパク質を、本来であれば、腎臓(尿を作る臓器)で再度吸収して、体の血液に戻すということが身体で行われているのですが、それが行われずに、全部身体の外に尿から出てしまう腎臓の病気です。
その結果、血液のなかのアルブミンが減って、血液の中の水分が臓器や皮膚の下に溜まっていく症状が現れます。
血液の中の水分も少なくなるので、血液がドロドロになって、塊ができて、それが固まって肺や脳や心臓の血管に詰まると、心筋梗塞や肺梗塞、脳こうそくになります。
この、腎臓の機能がおかしくなる原因はわかっていないです。分かっているのは、免疫系の異常によって腎臓が炎症して起こるということです。
これが、ネフローゼ症候群の症状です。
ただ、症状は人によって異なりますし、1次か2次か。どの型のネフローゼ症候群なのかによっても異なります。もちろん治療方針も。
治療としては、免疫系の異常なので、自分の腎臓を自分の免疫で攻撃しないように免疫抑制剤のプレドニン(ステロイド)を投与するところから始まります。
また、同時進行で、発症時には、どの種類のネフローゼ症候群なのかという、診断をするために、腎臓の組織をとる腎生検という検査もしました。
さらに、血液がドロドロ、腹水や胸水が溜まっているままだと、命に関わるため、血液中にたんぱく質を一時的に投与したり、血液がかたまりにくくなる薬を継続的に点滴し続けることをしました。
そして、どの型なのか確定したところで、治療方針を決めて行きました。私の場合は、急激な発症だったので、検査前から「1次性ネフローゼ症候群」というものであろうというあたりを付けて、ステロイドを投与する治療から始まりました。
ステロイドで免疫を抑制することで、腎臓への攻撃をとめるイメージです。私の場合は15日くらいで、尿からタンパク質(アルブミン)がダダ漏れになるのが止まりました。
これも、人によります。ステロイド治療が効かない人もいます。その場合は違う治療を開始します。
尿の中のタンパク質ダダ漏れ状態が薬によって止まれば、一応「寛解」という状態で、ネフローゼ症候群の病気の症状は治まったということになります。
一般的には、治った、という表現になるところです。
ダダ漏れ状態が止まってから、段々と血液のなかのタンパク質(アルブミン)が増えてきます。
私の場合は、1ヶ月くらいで、正常値になって、むくみもよくなりました。
ダダ漏れ状態が止まることによって、体の中の水分が、外に抜けるので、1週間で、10キロほど体重がドッと減ります。逆に言えば、発症から、私の場合は15キロほど増えていました。
ここまでが、ネフローゼ症候群の症状と「寛解」までの治療です。
普通の風邪であれば、この時点で、仕事を再開することが出来るでしょうが、出来ないのは、「寛解」の時点で、ステロイドを大量に内服してネフローゼ症候群の症状が落ち着いている状態だからです。
・ステロイドはとても強い薬であるため、副作用によって日常生活が阻害されること
・治療法が確立されていない、原因が不明なため、ステロイドを、減らしていく中で再発する可能性が不透明であると
から、働くことが私は困難でした。
そして、薬を少しずつ減らしていく中で、3ヶ月後に再発をしました。これも原因は不明です。そして、ステロイドを再度増やして、もう一度ネフローゼ症候群の症状を抑えて
その後、ほかの免疫抑制剤を合わせて再度治療をはじめて、ステロイドを減らしているというのが今の状況です。
そのため、今の私は「寛解」している状態であり、ネフローゼ症候群の症状は全くありません。でも、働けないのは、
・治療の先行きが不透明であること
・ステロイドや免疫抑制剤の副作用が強くて日常生活に支障があったり、体調に波があること
・再発する可能性があること
があるからです。
全く再発せずに、過ごすことが出来ている人もいますし、人によって違います。ただ、ネフローゼ症候群の症状がないので、運動や旅行をすることはかのうなのです。
では、何に困っているかと言うと、
「ステロイド」の副作用です。
私の場合は、再発時に増やした「シクロスポリンカプセル」という免疫抑制剤の副作用もあります。
ステロイドの副作用もまた、人によって違います。出る症状も数え切れないほど多く、出現する副作用や強さが違います。
これも、予測不可能です。
http://www.okotono.net/entry/2017/03/30/185420
主には、このステロイドの副作用という表を見ればわかります。「重症」と書かれているものは、私は副作用が出やすいようで、おおよそ出ていました。
・高脂血症の薬
・カルシウムの薬
・緑内障によって目が見えにくくなるのでそのための点眼、
・感染しやすくなるため、感染しないための薬
・不眠になるため睡眠薬
・血糖が上がることがあるため、入院中は毎日指に針を指して血糖測定をして、高ければインシュリン注射
・筋萎縮があるため、50mも歩けず、退院する時には車椅子生活に。
という状態でした。
軽症と書かれている副作用は全て出ていました。今でも、ほとんど出現しています。
でも、これは、ネフローゼ症候群の症状ではありません。ネフローゼ症候群の症状は今はありません。でも、生活を大変にしているのは、ステロイドの副作用です。
これに加えて、追加したシクロスポリンカプセルの副作用もある状態です。
薬を減らしていく中で、「離脱症状」というものもあり、吐き気や強い眠気などが一時的に出現しているのが今の状態です。減薬から一週間程度はこの「離脱症状」が出ています。
ただ、薬を減らしていく中で、副作用は徐々に軽くなっていきます。ただし、減らしていく中で、また再発する可能性もあります。薬をゼロにできる保証もありません。でも、再発原因も不明。治療方針も未確立。
このあたりの曖昧さや、病気自体の人による症状、治療方針が人それぞれ、副作用も人それぞれ、などということが、説明を困難にしているのかなと思っています。
ネフローゼ症候群の苦しさというのは、もちろん発症した時や再発した時の症状もしんどいのですが、
・治療の先行きの不透明さ
・再発するのかわからない不安
・再発原因がわからなくて防ぎようがない
・他者に理解してもらうことが難しい(今回のインタビューでもうまく説明ができなかったように)→わかりやすく手短に説明するのも難しい
・理解してもらったところでどうしようもできない
ということが、ネフローゼ症候群になった人を孤立させていく原因になっていると感じています。また、見た目に関する副作用やうつの副作用もまた、孤立する原因だと私は感じました。
でも、逆に考えれば、
・再発原因がわからないなら、出来ることはなんでもチャレンジしていい
ということなんですよね。
原因がわからないし、再発しないかもしれない。これが、私が「再発は交通事故に合うようなものと一緒」と言った理由です。だって、原因だってわからないし、再発しないかもしれない。薬を上手く減らせられたら、普通の人と変わらない。普通に働けたり、普通に運動できるんですよね。
ぁぁぁ、むずかしいよぉぉぉ(^ω^;);););)
簡単に手短にするつもりで、携帯から打っていたのに、結局この量に。
要するに「先行き不透明」が結論なんですけどねぇ。